硬質クロムメッキのアレコレ辞典

硬質クロムメッキ浴の種類

山旺理研では硬質クロムメッキで用いられる主な3種類のメッキ浴を完備しております。

サージェント浴(普通浴・標準浴)

液組成は、無水クロム酸、硫酸、3価クロムで構成され、温度 50℃、電流密度 40A/ d㎡ が標準です。

メリット :無水クロム酸と硫酸のみを含有する極めて単純な浴で,管理がしやすく幅広い用途で利用される硬度と耐摩耗性を生み出せるメッキ浴で,最も古く、広範囲で使用されている。
デメリット : 他2つの浴と比べての特徴は、メッキの硬度が低い・メッキが粗い・メッキ光沢がにぶい・メッキの耐摩耗性で劣るという点や、析出電流効率が16%前後と低く、電流密度40A/ d㎡でめっき析出は速くても 25μm/hほどで析出スピードが遅い。

フッ化浴(混合触媒浴)

液組成は、 無水クロム酸、硫酸、3価クロム、触媒(フッ化物)で構成され、温度 55℃、電流密度 40A/d㎡が標準 です。

メリット : サージェント浴と比較して、電流効率が高いため、メッキ析出が速く、鉄・鋳物へのつき回りが良い。生産性などの優位性がある。
デメリット : メッキが析出しない程度の低電流密度部分(ノーメッキ部分)で鉄材を溶解するという欠点があり、他にも陽極、治具、めっき設備に対する腐食性も強く、設備費用が掛かる 。

マイクロクラッククロムメッキ浴(高効率浴)

液組成は, 無水クロム酸、硫酸、3価クロム のほか特殊な有機物触媒を含有する高速めっき浴 で温度60℃、電流密度60A/ d㎡ が標準 です。

メリット : 電流効率が26%程度と高く、低電流密度部分(ノーメッキ部分)を溶解せずに従来浴の2~3倍のめっき析出が可能。析出スピードが速いため量産、自動化に適している。メッキ品質としては高硬度で光沢が良く、被膜物性がマイクロクラックのため耐食性が良い。 空圧、油圧系のピストンロッドについてはメーカー、専業者共に現在の標準になっている。
デメリット : 有機物触媒が特殊なため自社分析が出来ず、材料メーカーの分析と調達になり触媒原価が高い。標準の温度が高く、腐食性が強い強酸液のため設備損傷が多い。
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